鉛直な円管中を気液二相流が上方に流れる途中に設けた渦発生器により生ずる圧力変動を測定し、音声認識の手法によりその統計的特長量を摘出してデータベース化しておき、逆に計測した圧力変動の統計的特長量からこのデータベースを参照して気液二相流の各相流量を同時計測する方法を開発するのがこの研究の目的である。そのため、気液二相流の気相および液相流量を種々に変えたときの渦発生器の圧力変動を精密にサンプリング測定し、その差圧平均値、差圧波形の度数分布・分散・とがり係数・ひずみ係数、ピーク周波数、ウェーブレット変量の各変数値などを求め、気相および液相流束に対する2次元マップ上に等高線により分布状態を図示した。得られた図を重ねると細かい網目状となり、この各網目部分では異なる統計的特長を有することから、これを用いたパターンマッチング法やニューラルネットワーク利用による流量同定法の開発が本研究の特徴である。測定値による各特徴量の再現性、測定精度および測定可能性が問題であるが、これらを検討してニューラルネットワーク利用による液相流量の測定精度を調べた結果、3%以内の精度で測定できることが確かめられ、油井での計測には十分適応可能なことが分かった。これにより計測法が確立できる見通しが得られたので、引き続き、気相にも適用して気液二相流の各相流量の同時計測法につき研究し、精度を調べる予定である。
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