研究概要 |
磁性流体の内部には磁性体微粒子が分散しており,磁場を印加することにより磁場印加方向に鎖状クラスターが形成される。この鎖状クラスターは,磁性体微粒子が凝集した1次クラスターの集合体から形成されている。このような複雑な内部構造のため,磁性流体中の超音波伝播特性は,印加磁場によって大きな影響を受けるものと考えられる。そこで,本研究では,このような鎖状クラスター構造と超音波伝播特性の関係を明らかにする事を目的として以下のように研究を遂行した。 (1)1MHzのセラミック振動子を用いて流体中の音速を正確に計測する測定装置を新たに製作した。そして純水中の音速の計測を行い,装置が十分なる精度を満足している事を確認した。 (2)水ベース磁性流体中の音速変化の温度依存性を調べた。その結果,磁性流体中の音速は温度上昇と共に現象する傾向が明らかなとなった。 (3)電磁石による磁場印加を行い,磁場強度による音速変化を調べた。そして,音速が減少する結果を得た。これは,磁場印加とともに内部の鎖状クラスターが成長する事に起因するものと考えられる。 (4)各印加磁場強度において,磁場の印加方向と超音波の伝播方向とのなす角度を変化させて,音速を測定した。その結果,角度変化に伴う音速の異方性が認められた。しかし,この原因は今回の実験結果からは明かにならなかった。
|