研究概要 |
反磁性液体の磁場に対する反発力を利用すれば,長いカスプ状磁場を用いることによって磁場により空中に液体を浮揚させたり,仮想の流路を作り出してこの中を液体を流動させることができると考えられる.この現象は不純物の混入のない新しい材料プロセス法あるいは微小重力場の模擬環境の形成として利用できる.一方,この流路は通常の固体壁からなる流路とは異なり,磁気力によって仮想的に形成されたものであるため,外部からのかく乱や内部流動の乱れによって振動,変形し,さらには破断して液滴に分裂する不安定性が問題となる. 本現象の基本原理は被浮揚液体の磁化率が周囲流体のものより相対的に小さいことであるから,周囲流体として磁化率の大きい磁性流体を用いれば超伝導磁石のような特殊な強磁場発生装置を用いることなく通常の強さの磁場でも同様の効果が生じ,本現象を模擬することができる.したがって,具体的には次のように研究を行った. (1)液柱の浮揚と安定性 周囲流体として磁性流体,被浮揚流体として清水を用い,レアアースマグネットを対向させてカスプ状磁場を発生させ,中心部に液柱を浮揚させ,また,外部から電磁的に昨年度より強いかく乱を与える実験を行い,被浮揚液柱の変形,振動の様子をビデオカメラで撮影し,画像処理し,解析した.磁性流体濃度,磁場強さを変化させてその影響を調べた. (2)仮想流路の形成 同様にカスプ状磁場を傾斜させて拡大流路を形成し,内部に清水を流動させる実験を行い,流動状態をビデオカメラで撮影し,磁性流体濃度,磁場強さ,流速を変化させてその影響を調べた.
|