研究概要 |
最近,ディーゼル機関から排出するすすをマフラー内などに設置されたフィルターで捕集し,その後ヒーターで加熱し焼却するDPF装置が,ディーゼル微粒子の処理法として注目されている.しかしながら,従来提案されているDPFの問題点は捕集と燃焼処理を同時に行うことができず,装置が複雑になること,また再燃焼時のフィルター本体の耐久性が問題となり,機関への採用は試験段階に留まっている. そこで本研究では,電界を利用したすすの捕集と燃焼処理を行う装置を考案した.これは電極を兼ねた多孔板間に電界を印加することですすを架橋状態で捕集し,そのブリッジ状すすに通電することで,赤熱あるいは放電によりすすを燃焼処理させる.すなわち,本装置は電界を利用してすすの捕集と燃焼を同時に実現させようとするものである.実験には開孔率81%のステンレス多孔板を用い,まず第一段階として交流電界を用いた場合の印加電圧や電極間距離がすすの捕集効率や燃焼効率に対してどのように影響するかを調べた.その結果,すすは電極を兼ねた多孔板を通過する際に,電界の作用により捕集され,多孔板間にブリッジ状すすが形成するのが観察され,そのブリッジ状すすの生長速度は電界強度が約50kV/mで最大となった.しかし,この比較的低い電界強度ではすすは再燃焼するには至らなかった.電界強度が100kV/m以上になるとブリッジ状すすが火花放電によって燃焼するようになり,本実験範囲では150kV/m付近ですすの燃焼効率が最も高くなることがわかった.電界強度が200kV/m以上では,ブリッジ状すすの成長が火花放電によって抑制されるので,すすの捕集効率,燃焼効率は低下することがわかった.
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