研究課題/領域番号 |
14550174
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
木村 繁男 金沢大学, 自然計測応用研究センター, 教授 (70272953)
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研究分担者 |
岡島 厚 金沢大学, 工学部, 教授 (80013689)
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キーワード | 相変化 / 自然対流 / 連成熱伝達 / 対流熱伝達 / レイリー数 / ヌッセルト数 / 数値解析 / 飽和多孔質体 |
研究概要 |
本研究の目的は、2成分溶液内での凝固過程の動的挙動に着目し、そのプロセス(固化領域の厚さ及び凝固速度)を制御するために、簡便でかつ実用的に十分な精度を有する非定常一次元凝固解析モデルを堤案することにある。これにより凝固過程の動的特性を支配する無次元パラメータを同定し、かつこれらのパラメータと動特性との関係を明らかにする。さらに、二次元、三次元の数値解析と室内実験を併せて行い、同モデルの妥当性と限界を明らかにする。この種の問題は、ステファン問題として古くから知られている。しかし、本研究では古典的なステファン問題と異なり、冷却面温度が非定常で変化し、かつ固液界面では対流熱伝達の存在を考慮する必要がある。特に固液界面において溶質の排出や吸収が発生するため、温度差と溶質濃度差による所謂二重拡散に基づく対流が発生する。このため固相近傍で複雑な自然対流が発生し、固液界面を通過する伝熱量の評価が難しい課題である。さらに、固液界面の不安定現象からマッシー領域の形成が考えられる。このようなマッシー領域を通しての伝熱量評価も何らかの近似的モデルが必要となる。凝固過程における凝固速度の制御は固相のモルフォロジーを決定する上で極めて重要である。さらに固相中における溶質の濃度分布を制御することは、材料の物性を種々に改変する可能性を秘めており、その手法の確立は材料科学の分野で有用である。 今年度は主に炭酸ナトリウム水溶液を用いた実験を行い、以下の知見を得た。水溶液濃度が共晶濃度5.9%より低い場合は、冷却面に共晶組成の層が発達し、固界面温度が共晶温度より上がると、初めて氷層が発達する。この場合の一次元解析モデルを提案し、実験結果をよく説明することを確かめた。一方、濃度が共晶濃度を越える場合は共晶組成が発達し、その後炭酸ナトリウムのマッシー層が発達することを確かめた。
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