研究概要 |
融雪対象舗装路面,杭と土壌,放熱管などに関する熱収支を基にした融雪モデルを作り,気象データを読み込んで,舗装路面の融雪(残雪)状況や土壌の蓄熱状況をシミュレーションするソフトの開発を行った。ソフトでは晴天時の土壌蓄熱や路面温度降下時の凍結防止も考慮した。入力データには,集熱杭の寸法と配置,土壌構造,融雪対象舗装路面の寸法と構造,放熱管の寸法と配置,熱媒体の種類と流量,降雨量(雨量換算された降雪量を含む),気温,風速,湿度,日射量,天空放射量などの気象データを与えた。なお,気象データには気象業務支援センターからインターネットで入手できるデータをもとに,計算に必要なものを取り出すソフトを開発して使用した。ソフトの出力として,舗装路面の融雪(残雪)状況,杭内熱媒体や舗装路面表面の平均温度,熱移動量,循環ポンプの運転時間などが得られた。さらに,そのソフトを改良して,橋梁の基礎に見られる多数の杭が格子状に配列された群杭にも適用出るように拡張を行っている。なお,データの入出力は対話型で行い,誰でも本ソフトを使用出来るように配慮した。 本シミュレーションにより,杭配置などの与えられた条件で本融雪システムが目的どおりに機能するかどうかの予測が可能となった。また単独杭の実験結果と本ソフトによるシミュレーション結果を比較して良好な一致が見られることを確認した。この結果は,第18回寒地技術論文・報告集(2002.11)における"橋梁での杭利用地中熱融雪"で報告したほか,第40回日本伝熱シンポジウム(2003.5)において"杭利用地熱融雪システムにおける蓄熱効果"と題して講演発表予定である。 建設中の清永橋を利用した実地計測は,橋の建設工事が平成15年度にずれたため,計測用の温度センサー等の取り付けは終わっていないが,橋の建設に合わぜていつでも取り付けできるようにセンサー等を準備している。
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