本年度は垂直な加熱平板を複数枚、等間隔で同一水平面上に分散配置した場合について、平板列まわりに生じる自然対流の流動・伝熱の詳細を数値解析および実験の両面から探った。試験流体には常温の空気を用いた。数値計算では、平板列全体を取り囲む広い計算領域を設定し、この領域の境界に適当な流入・流出条件を与えて完全楕円型の運動量および熱エネルギー輸送式を解く、最も厳密な方法を採用した。また、この数値計算と並行して実験を行った。実験では、平板列まわりの流れを煙により可視化すると共に、平板列中の各平板の局所熱伝達率を測定した。また、これら実験結果と解析結果を比較・検証した。以上の解析および実験により、つぎのような知見が得られた。 1.平板間流路内に誘起される自然対流の流量は、平板間隔のみならず、平板の枚数および平板列中に置かれた流路の位置により大きく変化し、とくに平板間隔b>34mmでは、平板の枚数が増えるほど、平板列の中央側流路ほど増加することを見出した。 2.平板間流路出入口における流体の圧力は周囲流体圧力よりも低くなることを解析により明らかにした。とくに流路出口における負圧は、平板枚数が増えるほど、また平板列中央側流路ほど大きくなり、上述した自然対流流量の差がこの負圧に起因することを明らかにした。 3.平板の局所熱伝達率は平板間隔のみならず、平板の枚数および置かれた位置により大きく変化する。とくに平板間隔b>34mmの場合には、熱伝達率は平板枚数が増えるほど、また平板列中央側ほど高くなることが分かった。また、本数値解析により予測した各平板局所熱伝達率は実験値と良好に一致した。
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