本年度は次の2点を検討した。 1.回分式リアクター内の反応過程 ヘル・ショウセルを用いて2層界面反応場を形成させた。対象とした反応系はNaOH-HClの発熱中和反応である。界面での反応状態はPH指示薬の色変化の画像処理によって調査した。両層の密度差を考慮して、界面は安定な場合と不安定な場合について検討し、不安定な場合、レイリー・テイラーの不安定性によって反応速度が促進されることがわかった。さらに、不安定な場合、プルームの形成、成長・融合、分離・消失といり3つの過程で反応が進行することが明かとなった。また、両層の濃度が低い場合には発熱の影響は無視されるが、濃度が高くなると発熱の効果は無視できなくなり、熱と物質の同時移動による複雑な対流現象が観察された。詳細な検討は次年度に譲る。 2.流通式リアクターの作成法 マイクロリアクターを模擬した流通式装置を作成した。いくつかの作成法を検討した結果、リソグラフィー技術より迅速に行えるNC微細機械加工技術で200-500ミクロンメータ幅の複雑流路が自由自在に作成できることを確認した。 次年度は作成した流路を用いてせん断速度および空間スケールが反応に与える影響を検討する予定である。
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