研究概要 |
本研究は、徹小量力環境を利用した乳化燃料の燃焼現象解明に関する研究の一環であり、噴霧の一部として乳化燃料液滴列を構成して燃焼させた場合の液滴間の干渉効果について検討するものである。特に乳化燃料液滴では添加水分の爆発的な沸騰によるミクロ爆発現象が存在し、これらによる近接液滴の崩壊現象誘発などの直接的影響を調べる。まずミクロ爆発を統計的な観点から検討した、通常重力液滴燃焼、微小重力下液滴燃焼、ガラス細管加熱についての実験結果を、均一核生成理諭から得られる気泡核生成率と合わせながら検討するとともに、自由液滴でのミクロ爆発発生現象が懸垂液滴の場合と同様であることを検証した。燃焼実験では,n-ヘキサデカンおよびn-ドデカンをベース燃料とした水中油滴型乳化燃料を用い、直径0.125mmの石英細線の先端を球状に加工した懸垂線を配置して液滴列を構成し、通常重力下において燃暁実験を行った。実験装置は、微小重力実験を前提にジュラルミンフレームで作製したものであり、燃焼容器、光学系、CCDカメラ、電源装置などで構成されるとともに、一連の実験挨作を遠隔で行うための制御システムが組み込まれている。本装置を用いて、各実験パラメータについてそれぞれ約30回の液滴列燃焼実験を行い、ミクロ爆発挙動と発生待ち時間を調べた。その結果、乳化燃料液滴列におけるミクロ爆発発生の待ち時間は液滴間隔の減少とともに短くなること、液滴列の待ち時間分布はワイブル分布に従い、その形状母数は液滴間隔が小さくなるにつれて小さくなること、液滴間隔が小さい場合、ウイブル分布の初期故障型に分類されることなどの知見を明らかにするともに、第2年次に必要な基礎実験を完了させた。
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