研究概要 |
本年度は前年度に引き続き,乳化燃料液滴列について通常重力下で実験を行うとともに,微小重力環境において燃焼実験を行った.微小重力実験は自由落下法により行い,実験には大阪府立大学設置の落下塔を利用した.落下距離は約8mであり,1s超の良好な微小重力時間が得られる.また単一乳化燃料液滴および純粋燃料液滴列中に配置された乳化燃料単独液滴の燃焼実験を行い,その結果との比較を行うことにより,乳化燃料液滴列燃焼の特徴的現象について検討を行った,供試燃料はn-ドデカンおよびn-ヘキサデカンをベース燃料とした水中油滴型乳化燃料であり,他の実験条件についても前年度とほぼ同様である.微小重力実験では特に燃焼現象について検討を行い,燃焼現象が単一液滴における重力の影響とほぼ同様であることを確認した.また,通常重力下および微小重力下の乳化燃料液滴列燃焼では,そのミクロ爆発発生に干渉的効果が存在していることを明らかにした.干渉効果は乳化燃料液滴のミクロ爆発に起因するものであり,隣接液滴の崩壊現象は促進され,液滴列燃焼の液滴寿命は短くなる.干渉効果には空気力学的効果とミクロ爆発誘起効果があることを解明するとともに,干渉効果によるミクロ爆発発生率を求めることに成功した.一方,ミクロ爆発干渉効果が存在する乳化燃料液滴列のミクロ爆発発生待ち時間分布はワイブル分布で近似でき,それらの分布型が液滴間隔によって変化すること,ミクロ爆発発干渉効果に対する液滴間隔,ベース燃料,初期含水率の影響を明らかにした.これらの結果の一部は,日本機械学会2003年度年次総会において報告した.また平成16年8月に米国シカゴ市において開催予定である,第30回国際燃焼シンポジウムに論文投稿・査読中であるとともに,他についても関連学会等で公表予定である.
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