研究概要 |
噴霧の一部として乳化燃料液滴列を構成し,特に乳化燃料液滴が添加水分の爆発的な沸騰により崩壊・飛散する二次微粒化過程における液滴間の干渉効果について実験的検討を行った.液滴列は,先端を球状に加工した石英線を直線状に配置して構成した.点火は電気加熱したカンタル線を液滴直下に移動させて行った.供試燃料はn-ドデカンおよびn-ヘキサデカンをベース燃料とした水中油滴型乳化燃料であり,乳化剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを用いた.乳化剤の体積比率は1%とした.溶存ガスの影響を除去するため減圧脱気して実験に供した.実験は通常重力下および微小重力下において行った.微小重力実験は自由落下法により行い,実験には大阪府立大学設置の落下塔を利用した.落下距離は約8mであり,1s超の良好な微小重力時間が得られる.乳化燃料液滴の初期直径は1mmとし,初期含水率は0.1および0.2である.上記に加え,単一乳化燃料液滴および純粋燃料液滴列中に配置された乳化燃料単独液滴の燃焼実験を行った.以上の結果,通常重力下および微小重力下の乳化燃料液滴列燃焼では,そのミクロ爆発発生に干渉的効果が存在していることを明らかにした.干渉効果は乳化燃料液滴のミクロ爆発によるものであり,隣接液滴の崩壊現象は促進され,液滴列燃焼の液滴寿命は短くなる.また,干渉効果には空気力学的効果とミクロ爆発誘起効果に起因したものがあることを明らかにするとともに,干渉効果によるミクロ爆発発生率を求めることに成功した.一方,ミクロ爆発干渉効果が存在する乳化燃料液滴列のミクロ爆発発生待ち時間分布はワイブル分布で近似でき,それらの分布型が液滴間隔によって変化すること,ミクロ爆発干渉効果に対する液滴間隔,ベース燃料,初期含水率の影響を解明した.
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