研究概要 |
実用燃焼器で高負荷燃焼を目的として用いられる乱流予混合燃焼は、乱流の大きな特徴である速度の空間的非一様性及び時間的変動という複雑な現象を伴うことから、その詳細な構造の解明を実現するには至っていない。そこで本研究では、その特徴の一つである速度場の空間的非一様性に着目し、空間的な速度勾配の存在に起因する火炎の伸張効果という点からその空間的非一様性が予混合火炎の構造に与える影響について詳細に検討した。具体的には、ポアズイユ分布を持つ速度場を並列に隣接させることで層流状態の速度分布に空間的な非一様性を持たせ、そこに形成される定在層流予混合火炎についてPIV及び熱電対を用いて速度場・温度場を測定し、火炎伸張と火炎温度の関係について検討した。 その結果、本研究で形成された火炎は、火炎面に沿って非一様な伸張を受けており火炎温度はルイス数と関連する伸張効果によって変化していた。しかしその温度変化は、従来の研究において一様な伸張を受ける火炎に対して解析された理論からの予測とは定量的には一致しなかった。そこで、本研究ではその理論を再検討し、その理論中に火炎面に平行方向への熱移動の影響を新たに考慮した結果、実験結果とかなり良い一致を示すようになった。このことは、火炎面に沿って非一様な伸張を受ける火炎では、火炎面に平行方向への熱移動が重要な役割を果たすことを示している。 以上の結果に関連する内容の一部は本年度、当該分野において最も権威あるとされる国際会議「29th (International) Symposium on Combustion, Combustion Institute, 2002」や、「日本燃焼学会主催第40回燃焼シンポジウム,2002」において発表し、また、学術雑誌「Proc. Combustion Institute, vol.29, 2002」に掲載決定、「Combustion and Flame」に現在投稿中である。
|