研究概要 |
回転流中に形成されるブンゼン火炎を対象に,火炎先端部の挙動について検討を加えた.燃料としてメタンを用いた.予混合気の流速が0.6m/sに場合には火炎先端部は周期的に変動する.予混合気流速を増加すると,火炎先端部の変動は徐々に周期性が崩れ,1.1m/sの場合には非周期的な振動挙動が見られる.本年度は,周期的変動,非周期的変動に対して以下の検討を行った. 周期的変動に対しては,LIF(Laser Induced Florescence)法により,変動する火炎基部のOH濃度の測定を行った.その結果,火炎基部が燃焼ガスに正の曲率を有する場合と負の曲率を有する場合とでは,OH濃度が変化することが定性的に示された.しかしながら,LIF信号はきわめて微弱であり,複数の画像を加算し平均することによりS/N比を改善する必要があった.その結果,時系列的な変動を測定することはできなかった.来年度は,LIF信号強度の改善が重要な課題であると考えることができる. 非周期的変動に対しては,レーザトモグラフィー法により,火炎面挙動を可視化し,その変動を高速度ビデオカメラにより記録した.記録された画像より火炎先端部の変動を時系列データとして定量化し,アトラクター,リアプノフ指数,相関次元を求め,カオス特性の視点から火炎先端部の変動特性について検討を加えた.その結果,周期的変動の場合と非周期的変動の場合とではカオス的特性に有意な差が見られ,非周期的変動の場合にはカオス的特性がみられた.今後,カオス的特性をさらに明確にするために,サロゲート解析などを適用する必要がある.
|