本年度は、製氷時の壁面氷結の防止が期待される電荷として、攪拌に共ない発生する静電気の効果を検討する。実験は、2リットルのPMP(ポリメチルペンテン)ビーカーに微量の添加剤(界面活性剤の効果を持つ)と水-油を1リットル程度入れる。但し、油(絶縁物質)としては、シリコンオイルを使用した。そして、その混合液を攪拌することで分散系を生成する。そのビーカーを低温型恒温水槽へ直接浸して冷却しながら製氷する。先ず、攪拌による静電気の発生を確認するために、微量のAl_2O_3パウダー(金属パウダー)又は樹脂パウダーを添加した。その結果、正の電荷をもつ金属パウダーを添加した場合は、金属イオンが中和剤として作用して、分散系の凝集が確認された。一方、樹脂パウダーの場合は、分散系の凝集は確認されなかった。これによって、攪拌による静電気の発生は確認された。次に、製氷時の油(絶縁物質)・氷と壁面及び油粒・氷同士の接触による摩擦で起る静電気による帯電量の変化を実際に静電気測定装置によって測定を試みた。測定の結果、製氷に伴い発生する静電気は僅かながら変化することが確認されたが、攪拌している混合液の量が少ないために、発生する静電気量が少なく、測定精度に問題が残った。それ故、今後は、スケールアップした実験が必要だと思われる。最後に、混合液が凍結するときの冷却壁面での様子を観察した。その結果、水のみを冷却した場合に比べて、上記の混合液を使用した場合、油が樹脂壁面に接触することで、壁面氷結防止の効果があることが確認された。今後は、油の樹脂壁面への接触現象が、静電気の効果による油の帯電とそれに伴う油と逆の極性に帯電した壁面との吸着の作用によるものか確認する必要があると思われる。
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