(1)14年度は、油単独の攪拌による帯電特性を検討した。実験は、ステンレス容器にシリコン油を入れ、攪拌しながら油の容器壁面との摩擦により発生する静電気による帯電量を測定した。なお、容器底部には木の板を敷いて電気的に絶縁した。実験は攪拌回転数、攪拌翼の大きさ、容器の接地の有無等をパラメータとして行われた。また、攪拌停止後の油の帯電量の減衰についても検討した。実験の結果、今回の系での最適条件としては、大きな攪拌翼で攪拌回転数を増加させ、容器は非接地することが良いということが分かった。また、攪拌開始後約20〜25分後に帯電量が最大値に近い値をとり、攪拌停止後、5分程度で油の電荷はほぼゼロになることが分かった。 (2)15年度は、昨年度の結果を踏まえた実験を行った。先ず、水-シリコン油混合液の攪拌時の帯電特性を調べ、含水率40〜60%で帯電量が最大となることが分かった。次に、撹拌により発生させた静電気により帯電させた混合液滴を印加されている電極間中で落下させ、その挙動を観察した。実験は含水率を変えて行った。最後に、200Vで印加されている容器内で撹拌されている含水率50%の水-シリコン油混合液の挙動を下部から観察した。水と油を区別するために油を赤く染めた。液滴の観察から、攪拌による静電気により油を帯電させることで、始めて油が電極板へ引きつけられることが分かり、油は含油率70〜100%の間で油の帯電により左の電極側に変位した。また、混合液の観察実験から、容器壁面では油の濃度が著しく増加し、含油率70%程度で、一方、容器中央付近は含油率が減少していることが分かった。以上より、水-油混合液に静電気が発生している場合、電場の効果により油を容器壁面に引き寄せることが可能であり、さらに印加電圧を変えることで、壁面での含油率を制御でき、その結果、壁面氷結の防止につながることを明らかにした。
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