研究概要 |
高さ17mm、幅12mmの矩形管流路の底面中央に10mm×10mmの伝熱面を設置し、サブクール度40〜50K,流速0.5m/sで水のサブクール流動沸騰を行った。遷移沸騰域で気泡微細化沸騰が発生し7MW/m^2を超える超項熱流束が得られた他、次のことが明らかになった。 1.周期性のある気泡微細化沸騰では、周波数に比例して直線的に熱流束が増加する。周波数が1秒間の固液接触回数と考えることができる。 2.周期性のある気泡微細化沸騰において、伝熱面上の気泡挙動と伝熱面付近の圧力変動の同期観察から、伝熱面上の合体気泡が崩壊するときに高い圧力波の生じることが分かった。これはキャビテイション気泡の崩壊時に発生する高い圧力波と同様のメカニズムと考えられる。 3.高過熱度側の気泡微細化沸騰では、薄い蒸気膜が伝熱面を覆い連続的に微細気泡を放出する静かな気泡微細化沸騰が見られ、その後伝熱面が乾き急速に膜沸騰に移行することが確認された。 円管流路の水の流動沸騰を円管直径5mm、10mm、16mmの3種類についてサブクール度30K、流速0.25m/s〜2.5m/sについて行った。伝熱面は何れも円管に長さ10mmとした。矩形管の場合と同様に遷移沸騰域で気泡微細化沸騰が発生し、流速0.5m/s以上で通常の限界熱流束を超える高い熱流束が得られ、2.5m/sでは10MW/m^2近くまで達した。サブクール液の流速が熱流束の増加に大きく影響し、流速の高い領域では気泡の凝縮効果よりも気泡がながれにより除去される効果の方が大きいようである。 円管流路においても矩形管と同様に周期性のある気泡微細化沸騰が発生し、熱流束は周波数に比例して直線的に増加する。周波数が1秒間の固液接触回数と考えることができる。
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