1.-5〜-4℃に保たれたシリコーンオイル中に一対の電極板を設置し、高電圧を印加して平等電場を形成する。この電極板間に入れられた過冷却水滴は電極板間を往復運動し、電極板との繰り返し衝突により凍結を開始する。この現象を高速度ビデオ撮影し、滴と電極板との接触面積、凍結開始時期と位置について検討した。電極板として、透明なソーダライムガラスにすず-インジウム酸化物を蒸着したものを使用し、水滴の反対側から接触面積等の撮影を行った。水滴直径は4mm、電場強さは0.22、0.28MV/mを中心とした。その結果、水滴の80〜85%は、電極板との接触面積が最大となる時点から離脱までの間に凍結を開始する。凍結の開始は、水滴と電極板の界面付近、水滴、電極板とシリコーンオイルの三相境界付近、水滴とシリコーンオイルの界面付近のいずれにおいても見られたが、滴中心部では確認できなかった。水滴内部への凍結の進展は、過冷却水表面における核生成時の典型例と同様であった。シリコーンオイル用の濾紙を保留粒子径の小さいものに変更すると凍結開始が減少したことから、何らかの微粒子が電場の効果で凍結開始を促進していると考えられる。電極板上に水滴を静置して両者間にパルス状高電圧を印加したところ、水滴と電極板の接触面積が増大し、その後凍結を開始した。 2.温度0℃の二回蒸留水を、ノズルから噴出速度0.34〜0.53m/sで、電場を付与した-5℃のシリコーンオイルに注入する実験を行った。その結果、生成された水滴の、凍結開始割合および凍結率の深さ方向変化が得られた。 今後、上述の微粒子の解明、およびその凍結核生成の活性化に対する電場の影響についての解明が必要であると考える。
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