研究概要 |
磁気ヘッド位置決め機構の広帯域化を実現するために,平成14年度は以下の2つのテーマで研究を行った. (a)高共振位置決め機構 平成13年度に研究代表者らが考案した9.3kHzの最低次逆相モードを有する位置決め機構の基礎実験機を作成し,その動特性を測定し,理論解析結果の確認を行った.その結果理論解析結果は実験結果を良く予測できることを示した.また,考案した位置決め機構では重心がピボット軸中心に一致していないことから,外乱に対する応答性能が悪化する可能性があるため,外乱応答に対する仕様を満たすことができる装置支持機構を明らかにした. さらに,実験結果と理論解析結果の比較から更なる高共振化の可能性が明らかになったため,位置決め機構の改良を行い,有限要素法解析により最低次逆相振動モードの固有振動数を約15%向上した11.2kHzの位置決め機構の構造を明らかにした. (b)振動モードの安定化制御 追従制御の広帯域化に伴い顕在化してくる風外乱による高次振動モードを安定化できる制御手法を提案した.提案する手法ではVCMの駆動回路中の信号を用いてオブザーバにより複数の振動モードの駆動点速度を推定し,それらをネガティブフィードバックすることにより振動モードを安定化でき,センサ類を必要としない点が特徴である.複数の振動モードを含む駆動点速度を推定できる離散時間オブザーバの設計手法を提案し,計算機シミュレーションでその有効性を示した.
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