研究概要 |
(a)高共振位置決め機構 同相形高共振位置決め機構を提案し,プロトタイプを作成して,その特性を実験的に確認した.実験により得られた位置決め機構の周波数特性は境界条件の違いを考慮すれば理論解析結果と良く一致しており,同相形高共振位置決め機構の有効性を確認できた. (b)高サーボ帯域を実現する制御系設計 ロバスト制御理論として広く用いられているH∞制御理論を用いて,同相の主共振モードを有する位置決め機構を対象に,モデル化困難な高次振動モードに対する安定性を確保しながら高サーボ帯域を実現できる位置決め機構の特性を明らかにした.すなわち,位置決め機構の同相主共振振動数と高次共振モードの振動数の比およびピークゲインの大きさをパラメータにとり,H∞制御器を設計し,実現できる制御帯域の限界を比較した.その結果,同相主共振ピークゲインの大きさと高次共振ピークゲインの大きさがほぼ等しい場合にはそれらの共振振動数比は3倍以上であることが望ましいこと,主共振ピークゲインの大きさに比べ高次共振ピークゲインの大きさが10dB以上小さい場合には共振振動数比は1.3倍でも主共振の同相化がサーボモードの広帯域化に寄与することを明らかにした.最後に設計した位置決め機構に対してH∞制御系を設計し,目標とした3kHzを大きく上回る4kHzの制御帯域を実現できることを示した.
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