研究概要 |
本研究は,傾斜振動系に対し,上下方向のパラメトリック励振型と水平方向の共振型の二つの振子を用いて制振する二振子動吸振器の開発を目的としている.今年度は二振子系の実験を中心とし,振子の代わりに溝つきローラ(ボール)を利用した系についても理論解析と実験を行った. 今年度の研究実績結果は以下の様である. (1)銅円盤と電磁石を利用した磁器ダンパーをもつ可変減衰二振子動吸振器を付加した傾斜振動系を製作した.さらに,最適減衰を求める手法を提案するとともに,実験系に対する最適減衰を計算により求め,それに基づく実験と数値解析を行った. (2)実験結果は解析結果と概略一致し,傾斜系では二つの振子の有効な運動により振動をよく吸収して二振子動吸振器が有効であることを明らかにした. (3)振り子の代わりに溝つきガイドとローラ(ボール)を用いた動吸振器を製作するとともに,ローラのすべりを考慮した理論解析を行った (4)ローラ系の実験と数値計算の結果,概略振り子系の場合と似た効果を示すが,最適減衰を実験的に与えることは困難であり,今後の課題となった.しかし,ローラの場合は1平面の中に半径の異なる溝を作ることが可能であるため,振り子系より動吸振器系を簡単な構造でコンパクトに製作することが可能であり,加振振動数の変動が少なく傾斜が変化する場合の動吸振器としては有効であることがわかった.
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