研究概要 |
スーパークリーンロボットは磁気軸受と磁気浮上に関する技術を応用して,完全非接触の3次元ロボットを実現することを目的としている.平成13年度までに鉛直方向と鉛直軸周りの運動を司る回転アクチュエータとラジアル方向の移動を司るリニアアクチュエータの単独試験は完了している.本年度は,リニアアクチュエータを回転アクチュエータに取り付けて作動確認を行うため,高性能パソコンとA/D, D/Aコンバータを新規購入し,主として,回転アクチュエータのアウターロータに取り付けたリニアアクチュエータの移動中の安定浮上制御を分担させた.リニアアクチユエータのハンドの部分は軽量化された柔軟な構造となっているため,比較的低い振動数から固有振動数が存在する.移動中の浮上制御では,リニアアクチュエータ単独の非接触浮上において発生した高次固有振動のロバスト不安定発振が発生した.その対策として,従来はノッチフィルターを多用していた.しかし移動に伴いアクチュエータ支持点が変わるので,この方法には限界がある.そこで本年度は,ゲインスケジュールH-infinity制御理論を応用した制御法を適用することとした.まず,リニアーアクチュエータのハンドの伸び縮みに対応した動的モデルを作成した.その動的モデルを用いて中心位置と最大伸張位置でのH-infinity制御器を設計して,リニアアクチュエータの位置に応じて,両制御器ゲインを調整するゲインスケジュールH-infinity制御器をReal Time Linuxで実現した. さらに,回転アクチュエータの超高精度な位置決めを実現するため,回転アクチュエータのステッピングモータの駆動方式としてマイクロ駆動方式を採用し,オープンループで所望の制度を得ることができた.
|