研究概要 |
製鉄機械や抄紙機に対するパターン形成現象の防止対策の一環として,主に以下のような数値計算および実験を行うことにより,防止および遅延対策の効果を検証した. 理論的検証として,製鉄機械のホットレベラのワークロールに発生するパターン形成現象に対し,ロール回転数を変動させることによるパターン形成現象の成長を遅延させる回転数変動パターンの検討を行ってきた.その結果,2つの回転数間で回転数変動を行う場合,各回転数における運転時間の最適値が存在すること,回転数を順次高くしていくと大きな遅延効果があることなどが分かった.上下ロールの直径比の影響に関しては現在検討中である. また,実験的検証として,上下2軸に固定された一対の金属ロールが接触回転する実験装置を製作した.両軸はそれぞれACサーボモータにより独立に一定速度で回転される.実験で発生するパターン形成現象を特定するため,上軸にS45CまたはSUS304の軟質材,下軸にSCM435(浸炭焼き入れ)の硬質材を配置し,軟質材側にパターンを発生させた.その結果,上軸の曲げ1次モードの固有振動数でパターンが成長することが確認できた.異なるロール回転数による実験により,パターン形成現象が,(パターン角形数×ロール回転数=系の固有振動数)なる関係を有していることが判明した.この結果は,これまでの理論解析結果と定性的に一致している.また,パターン形成現象の遅延対策の一環として,ロール回転数を順次変更することにより不安定化を抑制させる実験も行った.その結果,一定回転数で実験を行った場合と比較して,パターン形成現象の遅延効果があることが実験的に確認された.これに関しては,定量的な評価を行う必要があるため継続的な実験が必要である.
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