研究概要 |
産業界では,接触回転系の稼働にともなって徐々に規則的なパターンがロールやロールに接触している系に形成されて,それがまた激しい振動を誘発したり,製品に転写されて欠陥製品となる現象が多く見受けられる.たとえば,鉄道車両とレール,繊維機械のワインダ系の糸玉を介したドライブロールとボピンホルダ,一対の抄紙機ゴム巻きロール,自動車タイヤと道路,製鉄機械,工作機械などの系には特定のパターンが形成される.申請者らはこれらの現象をパターン形成現象と呼び,その発生メカニズムの解明と対策の研究を行ってきた. 特に,製鉄機械においては,テンションレベラのチャタマーク,熱間・冷間圧延時のチャタリングなどが製品の精度要求の高まりとともに製品管理上重大な問題となっている.また,一方では,抄紙機のプレスパートにおけるスムーザロールやゲートロールサイズプレスのロール多角形化現象も,ライン速度の向上を阻害する最も主要な原因である.これらの現象のほとんどは,ロールとロールが接触回転する接触ロール系に発生するパターン形成現象である. このような接触回転系のパターン形成現象の研究は,世界的な研究の見地から見ても,主に工作機械のびびり現象と鉄道レールのコルゲーションが国内で多く研究されているのみで,ロールとロールが接触回転する接触ロール系のパターン形成現象に関する研究は,現在発展途上段階にある.そこで研究は,このような接触ロール系に発生するパターン形成現象の防止対策として,接触するロールの外径比変更の影響,ロール回転速度の変動によるパターン形成現象遅延対策について,理論および実験の両面から検討を行った.その結果,ロールの外径変更には最適値が存在すること,ロール回転数変動はパターン形成現象の遅延対策となりうることがわかった。
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