浮遊粒子状物質(SPM)の定量測定を行うQCMセンサを開発することを目的とし、3次元有限要素モデリングを用いた数値解析法を検討し、2、3の評価実験を行った。主振動モードに限定した3次元有限要素モデルと2次元モデルによる解析結果は、吸着質量に対する感度に関して、双方がほとんど一致した。マルチチャネルQCMのモード結合問題を、2次元有限要素モデルで解析した。結合を回避するには、各振動子間にトレンチを設けるだけでなく、ダンパー材をトレンチ内に挿入して振動を吸収させるのが効果的である事が分かった。3次元有限要素モデルを用いて、AT-カットとY-カットの振動子の周波数-温度特性の解析を行った。これにより等価回路パラメータの温度係数を算出し、設計中のデバイスを用いてSPMセンサ回路を構成したときの動作を回路シミュレータで解析することが可能となった。伝送線路モデルによるシミュレーションと最適化アルゴリズムを組み合わせた吸着膜のパラメータ同定法を開発した。この同定法は、SPMを吸着する膜の存在により生ずる測定誤差を補正するために利用できると考えられる。AT-カット振動子の周波数-温度特性の測定と微粒子検出実験を行った。温度特性の測定により温度特性の数値シミュレーションの妥当性が示された。検出実験においては、QCMにより微粒子検出を行えることを示した。本研究で行った数値シミュレーション技術の基礎的な開発の成果は、QCMを用いたSPMセンサの開発を行う際に、多いに役立つものと考えられる。
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