研究概要 |
今年度は,実験および理論解析の双方について下記の進展をみた。 ・実験 初年度では,水槽を備えた実験装置および測定システムの確立が完了したが,実験の実行は流体力を考慮した数値解析技術の進展を待ち来年度に持ち越すこととした。本年度の実験の位置付けは,理論解析手法について,そのモデリング,定式化の妥当性を検証することで,ケーブルの伸展,回収時の長さ変化,また大変位,大変形時の3次元挙動を実験的に捉えることとした。これらの諸現象が実現容易な落下式微小重力環境の利用を実現し,このための実験装置の製作および測定システムの整備を行なった。実験では微小張力下におけるテザーの特有の挙動が実現され,これと後述する理論解析との比較検討を行なうことで理論解析手法の妥当性が確認された。 ・理論解析 上記実験に対応する系に対しモデリング,定式化をさらに詳細に検討した。特に今年度は微小変形を仮定した線形範囲において,長さが変化するテザーの運動解析を,有限要素を用いて高効率,高精度に行なう手法を開発した。この解析手法を用いた数値解析結果は,過去に行なわれた実験結果とよく一致しており,今後この手法を非線形問題に拡張することとで大変位,大変形,長さ変化,剛体との連成運動などを網羅した運動解析手法への対応の足がかりとすることができた。一方,3次元解析は多くの進展をみたものの完了には至らなかった。水中でのテザーの運動は3次元的となることが必至であり,来期上半期にこの完成を目指す。
|