研究課題
基盤研究(C)
本研究では、主にテザーの進展、回収機構に着目し、これまでに提案した柔軟なテザーと先端剛体系から成るテザードシステムのモデリング、定式化に対し、テザーの長さ変化を考慮するための新たな手法を開発した。この方法では、従来の有限要素を用いた柔軟体のモデリングに対し、非線形力学で議論される多重尺度法を導入し、特に非線形時間尺度を採用している。これにより、テザーの長さ変化を考慮するにもかかわらず、質量マトリクス、剛性マトリクスが共に時間依存しない形式で表現される。これは、複雑なテザードシステムの運動解析にあたり、要素数の設定を行えば、毎時各マトリクスを書き換える必要がないという、計算コストに優れた画期的な手法である。この理論解析手法を用いて、テザーと質点から成るシンプルな系に対して数値シミュレーションを行った。この結果の妥当性を確認するために、特性曲線法を用いた数値解との比較を行い、要素数の設定によって極めて精度の良い数値シミュレーションが可能であることを実証した。またこれに伴い、既存の実験装置を改良し、鋼線を巻き取り、繰り出し可能とし、実験を行った。この実験結果についても、本手法を用いた数値シミュレーション結果は良い一致を見た。さらに、水槽実験装置に水を満たし、流体の影響下でのテザーの運動について、実験および理論解析を行った。特に、テザーと流体の運動の相互干渉が大きくなく、速度に依存した抵抗力として流体がテザーに作用するような場合に対して、流体の影響を考慮した数値シミュレーション結果は、実験結果と定性的な一致を見た。これらの知見により、テザードシステムの流体中の運動解析は、平面問題ながら、大変位、大回転、大変形問題および長さ変化を取り込むことができるようになった。これにより、先端機の位置姿勢制御を数値解析によって確立、検証する基礎理論が構築されたと言える。
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Real-Time Simulation and virtual Reality Applications of Multibody systems, 2006 Ferrol, Spain
ページ: Abstract Booklet
International Conference on Computational Methods in Marine Engineering, 27-29 June2005, Oslo, Norway
ページ: CD収録
日本機械学会論文集(C編) 70-689
ページ: 105-112
Transaction of the Japan Society of Mechanical Engineers 70-689