研究概要 |
現在,ロータ・ブレードの防振装置として,振子式防振装置などが用いられている.しかし,振子式防振装置の寸法は,線形理論の反共振点の利用を考えて定められているが,その特性に関する詳しい解析はなされていない. ヘリコプタには,振動の原因として空気力等の影響で周期的な外力がロータ・ブレードに加わる.この空気力はメイン・ロータの回転数の整数倍の周波数成分を含む外力をロータ・ブレードに与える.本研究では,これらの外力に対する振子式防振装置の防振効果を調べた. まず,ロータ・ブレードとそのたわみ振動を制振するための振子式防振装置を,ロータ・ブレードのたわみと振子の振れ角とを変数とする2自由度振動系でモデル化した.その際,ロータ・ブレードは,その一端をメイン・ロータにヒンジ結合されている一様な薄い矩形断面のはりとし,たわみ振動としてその剛体モードのみを考慮した.また,外力はメイン・ロータによるロータ回転数の整数倍の振動数の上下の変位加振のみとした. そのようなモデルの非線形の運動方程式を求めた.それらの非線形微分方程式を直接数値積分した結果,および非線形理論解析した結果から,振子式防振装置の広い回転数範囲にわたる有効性とその限界がわかった.さらに,振子の質量比,振子の減衰,振子の取り付け位置,振子の長さの誤差等が,振子式防振装置の有効性とその限界に及ぼす影響もわかった.また,数値シミュレーションの結果と非線形理論解析の結果はよく一致し,非線形理論解析の妥当性も確認できた.さらに,回転ブレードの実験装置を設計・製作し,実験を行い,その結果から上記の理論より得られた結果の妥当性を確認した.
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