研究概要 |
一定のアンチ・ワインドアップゲインを伝達関数へ拡張し,座標変換により制御入力の飽和を考慮した位置決制御系をレギュレータ問題に帰着させた。次に,このレギュレータの大域的漸近安定性を保証する条件を明らかにした。この結果を用いて,制御入力が飽和してもシステムの大域的漸近安定性を保証する設計手法を提案し,数値シミュレーションによりその有効性を検証した。この結果は15th IEAC World Congressで発表した。 次に,DCモータ,ハーモニックドライブ減速装置,弾性アームから成る弾性アームロボットシステムを構築し,本研究で提案する動的アンチ・ワインドアップ制御理論を応用し,その有効性を実験的に調べた。その結果,弾性アームロボットのような振動的なシステムでは,制御入力が飽和すると制御性能が著しく劣化することが確かめられた。さらに,本研究で提案する動的アンチ・ワインドアップ制御器を適用して実験した結果,これらの制御性能の劣化が抑制され,良好な制御性能が得られた。この結果は2002年12月のIEAC Conferenceで発表した。 さらに,モデル規範形適応制御のAnti-windup設計について検討した。新しくAnti-windup適応則を提案するとともに,漸近的追従を保証するためには,二つの行列不等式条件を満たす正定対称解が存在する必要があることを示した。この条件に基づいて,パラメータ変動があり,かつ,制御入力が飽和した場合でも,漸近追従性を保証し,制御性能の劣化を防ぐことのできる制御手法を確立した。誤差システムの漸近安定性は,リアプノブの安定理論とBarbalat'sの定理によって証明した。電気回路における電圧制御に応用し,実験的に本手法の有効性を明らかにした。また,安定な二次の振動システムを例に取り上げ,数値シミュレーションにより本手法の有効性を示した。2004年9月にIEEEの国際会議(Conference on Control Applications)において,これらの研究成果について発表した。
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