研究概要 |
本年度は,昨年度の結果を踏まえて,昨年に引き続き,主に自己組織化単分子膜の表面の評価と,マイクロパターニングの技術によって,パターニング作製の最適な条件を確定するために,諸条件の実験を実施し,データを蓄積した. 以下に,本年度に得られた結果等を述べる. 本年度は,特に表面のマイクロパターニングにおける転写する際の実験条件について,最適な負荷荷重や負荷時間,パターニング間隔,マイクロパターニングの一辺の長さ,深さ等を確定するために,詳細な実験を行った. 表面に形成するマイクロパターニングについては,転写する際の最適な条件を把握するために,昨年度(一辺が10μm角)に比較して,本年度はより小さなサイズ(一辺が1μm角)の微細な凹凸を持つマイクロパターンを,有機材料を比較的容易に転写可能なPDMS(シリコンゴム)上に形成させた.本実験では,PDMSの凹凸部分に,アルカンチオール,アミノシラン等の自己組織化する単分子の膜(SAM膜)を綿棒で均一に塗布し,事前に表面上を洗浄したガラスウエーハ上に転写する.この場合の負荷荷重や負荷時間をパラメータとして実験を行った.その結果,負荷荷重については10〜20gfが,負荷時間については10秒が本実験の範囲では,最適であることが確認された. また,転写したパターン上にSAM膜が形成されているかどうかを,蛍光色素(発光素子の有機材料)を塗布することによって確認した.これは,転写されたパターンに蛍光色素が選択的に吸着させる方法で,この確認によって,本方法が今後の光学素子の製作に応用される可能性を示すことができた.
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