研究概要 |
(I)マイクロツールの設計と製作 (1)マイクロツールによる微生物の補足:表面をアミノ基やOH基で修飾した付着性のマイクロビーズを利用し,細胞および環境の固定力が十分であることが確認できたが,チップ内流路の壁面に付着し易いことが問題となった.そこで,光硬化性樹脂(ENTG-3800,ENT-3400:関西ペイント)を用いて細胞を試みたところ,強固に固定できることがわかった.イースト菌を用いた実験では固定された細胞がオンチップ培養できることが確認できた.また,培養した細胞は蛍光試薬CFDAでオンチップ染色でき,エステラーゼ活性が阻害されていないことを確認した. (2)マイクロツールの環境への固定方法:付着性のマイクロビーズは取り扱いが困難であるため,光硬化性樹脂の液滴を紫外線硬化させてマイクロツールとして利用した.マイクロツールや細胞は光硬化性樹脂で環境への固定が可能であった. (II)マイクロツールの環境投入と環境制御 (1)マイクロツールの環境投入方法:光硬化性樹脂をマイクロチップ内に投入することでマイクロツールをその場で製作し,利用した.また,同時に温度相転移性ゲル(PNIPAAM)を利用し,マイクロ電極の温度調整によって開閉するマイクロバルブを改良して,応答特性を評価した. (2)マイクロ流体環境設計と製作:マイクロツールを投入するポートを有するマイクロチップを試作し,流体環境を制御することで,マイクロツールを局所投入する実験を行い,蛍光染色実験に成功した. (III)マイクロツールによる目標物の位置・姿勢操作の安定化 (1)マイクロ領域における力バランスの解析とキャリブレーション:レーザートラップ力を計測した. (2)レーザーマイクロマニピュレーションによる安定操作:マイクロツールを複数安定に軌道制御する際の安定条件を導出し,実験により評価した.
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