研究概要 |
ロボットの駆動・操舵車輪をユニット化しておき,要求ペイロードに応じて複数台の車輪ユニットを編成して構築する「モジュール型移動ロボット」に関して,傾斜地等の3次元環境下で走行制御する際に不可欠な車輪ユニットの速度,車体の速度,姿勢などの状態を推定するアルゴリズムを構築した.主な結果を以下に示す. (1)ロボットの運動学モデルを基礎として,状態推定に必要な運動モデル,観測モデルを構築した. (2)ロボット内の各ユニットが自己のセンサ情報をもとに算出する局所情報をロボット相互で交換し,局所情報を統合することで制御に必要な状態量を推定する方法を示した.局所情報相互の相関の大きさが不明な場合でも局所情報を合理的に統合するため,共分散交差法に基づく手法を示した.なお,本手法はユニット相互の局所情報の通信に関して,任意のネットワークトポロジーに対して適用できる. (3)共分散交差法に基づく局所情報の統合において,局所情報を分割して情報統合の精度向上を図るため,情報フィルタを基礎に状態を推定する方法を示した. (4)局所情報算出の基礎となるロボットの運動モデルは一般的に非線形となることから,統計量非線形変換法を基礎に非線形運動モデルを線形化することなく局所情報を算出する方法を示した.これにより,運動モデルを変更する場合でもプログラムの変更が容易となり実装の簡便化が図れる. (5)傾斜地を走行する1台の車体ユニットと4台の車輪ユニットからなるロボットに対して状態推定(位置推定)の基礎実験を行い,従来のカルマンフィルタに基づく手法との推定精度との比較を通じて,提案手法の有効性を示した. 以上により,モジュール性や耐故障性,拡張性の高いPlug-and-Play型の状態推定システムの構築が可能となった.
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