研究概要 |
閉ループ機構の運動解析のため,ループ毎に,その中の受動対偶のスクリュー座標からなる基底を定め,その基底ベクトルで構成されるループのヤコビ行列を用いて,速度,加速度の解析式を導いた.これにより,ループ毎の速度,加速度の拘束条件が簡潔な式で表現でき,これを整理することにより,複数のループに属する対偶だけで作られるループ間ヤコビ行列が導かれ,ループ間ヤコビ行列で定まる連立方程式を解くことにより,機構の速度・加速度を計算できる手順を導いた.さらに,従来の機構全体のヤコビ行列を用いて解析する手法に比べ,ヤコビ行列の逆行列を計算するのに要する計算量の大幅な削減が可能となった.また力解析において,ループ毎に1つの対偶を選定し,この対偶を除き,ループを切断することにより,ループ間ヤコビ行列の転置行列を用いて,切断点での対偶を介して作用している力が決定できることを示し,これから,機構の閉ループ機構の力解析が,木構造の機構の力解析に帰着させることができることを明らかにした.以上の手法において,機構の解析表現の手段として,機構そのものが持つ受動対偶のスクリュー座標を用いることにより,平面,空間等の機構に関わらないプログラム構成が閉ループ機構の解析においても可能であることを明らかにした.さらにループ毎の運動空間が異なる場合も,同じ処理で解析が可能であることを示した.以上の条件に基づいて,既開発の開ループ機構のシミュレータをもとに,閉ループ機構のシミュレータの基本設計を行い,シミュレータプログラムの開発を行っている.
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