研究概要 |
機構のシミュレータの構築のため,対偶の速度を表すベクトル(スクリュー)からなる基底を持つ線形空間と,力を表現するための上記基底の双対基底からなる線形空間で運動解析式を表現することにより,座標系に依存しない,簡潔な運動解析式の表現を導き,これに基づいてパラレルメカニズムのシミュレータを設計した.広い範囲のパラレル機構に対応することを目的に,連結連鎖にループを持つパラレル機構のループ部のシリアル連鎖表現を導き,その結果,通常のパラレル機構の解析手法による解析に帰結させる手順を導いた.さらに連結連鎖がフルランクではなく,拘束を持つ連結連鎖からなるパラレル機構の統一的解析手法も導き,双対基底の関係を用いることにより,テーブルの自由度と同じ次数のヤコビ行列により運動解析を行う手法を開発した.以上の結果から,連結連鎖にループあるいは拘束の条件を付加してテーブルの運動を表すヤコビ行列を導き,その双対基底で連結連鎖の運動を表現するという手法で,多くの種類のパラレル機構の解析に対応できるプログラム構造が実現可能となり,汎用的なシミュレータの設計が可能となった.以上の理論的実証をもとに,パラレル機構のシミュレータをC++言語によるオブジェクト指向プログラム形式で開発した.このプログラムを,機構を表現するための,対偶,リンク,連結連鎖,ループ,テーブル,機構のクラスから構成し,多くの種類のパラレル機構に,部分的修正で対応可能な汎用的な構造のシミュレータを開発し,いくつかのタイプのパラレル機構のモデルをもとに検証を行っている.
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