人間の行う作業をロボットが支援する際の、環境や人間動作などの不確実な情報構造のモデリングのために、ベイジアンネットワアークを導入し推論を行うアプローチに基づき、ヒューマン・ロボットインタフェースとして、以下のプロトタイプを構成した。 (1)不確実性モデリングと推論に基づく人間作業ガイドシステム: 人間がはじめて行う機器の操作に対して、システムがその作業物体の変化および人間の手動作などを監視し、作業の手順を適時ガイドするシステムの構成を目指す。具体的には、ベイジアンネットワークを用いた不確実性のある情報構造のモデリングに基づいて、作業の進行状況をセンシングの結果から推論するシステムを構成する。14年度は、同ネットワークのノードの構成に関して検討を行い、MATLABから利用できるベイジアンネットワークのTOOL BOXを用いてプロトタイプシステムの実装を行った。センシングのノードとして、スリット光レンジファインダによる対象物の計測と、赤外線カメラ画像による手の領域位置の計測の結果を用いるための実装を試み、作業状況の推定に対する初期データの収集を行い、改良すべき点の検討を行った。 (2)不確実性モデリングと推論に基づくナビゲーション支援システム: 福祉ロボットに係わるヒューマン・ロボットインタフェースの課題として、お年よりや体の不自由な人が車椅子の操縦を行う際に、そのナビゲーションを支援するシステムのプロトタイプを構成する。14年度は、電動車椅子をコンピュータから操作するためのインタフェエースを構成し、人間が指差しで移動方向を指示することにより操縦できるようなフィードバックループを構成した。そのために、人間の肌色領域をカラー画像データから抽出するためのソフトウェアを作成した。また、移動ロボットの自己位置決めにおいて、センサ情報のみでは位置決めが不確実な場合に対応するために、ベイジアンネットワークの推論に基づいて適切なセンサプラニングを行う方法の提案と、プロトタイプシステムの実装を行った。
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