研究概要 |
「基本的動作の制御のみを与えれば自律的・適応的に大規模・複雑な動作を器用に実行できるロボット」の実現を目指した方法論である知的合成動作制御法を,脚移動ロボットサッカーにおけるシュート行動実現問題に適用して「知識アレイネットワークに基づくロボットの行動進化法」の有効性・発展性を示すため,4脚歩行ロボットTIAN-VIIIに「ボール位置を認識してボールに近づきシュートする」という行動を知的合成動作制御法に基づいて実現する実験を行った. シュート動作をボールへのアプローチ動作とキック動作の合成動作と見なし「各要素動作の学習+合成動作の学習」により器用なシュート動作を実現する過程のうち,キック動作の学習を行った.最適化のための試行回数を減らすため一部パラメータを固定し,運動学シミュレーションと遺伝的アルゴリズムによる予備的最適化を併用した.キック可能領域Ω内の典型的位置にあるボールを蹴るキック動作を,脚先軌跡を規定する可調整制御パラメータを制約条件付きシンプレックス法を用いて最適化し知識アレイを構成した.これに補間処理を加えて基本的知識を一般的状況に対する知識に拡張することで、Ω内の任意ボール位置をキック動作の知識アレイに与えると適応的にキック動作の準最適パラメータが得られることを確認した. また,ロボットの行動学習・進化を研究し,行動を定量的に評価するためにはロボット行動が「複雑である」とか「簡単だ」とは何を意味するかを厳密に定義しておくべきだが,これらを定量的に評価する指標が見当たらないため,行動評価法の確立を目指してロボット行動の複雑さや難しさを定量的に評価するいくつかの指標を導入した.そしてそれらをロボットサッカーにおける行動例に適用して検討することによって導入した指標の妥当性を確認した.
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