研究概要 |
本年度は,比較的硬い物体どうしが接触したり衝突したりする際に発生する力を,JoyarmやPHANToMのようなハプティック(触覚フィードバックデバイス)で体感するシステムを構築したり評価したりした.一般に,硬い物体どうしの衝撃力や摩擦力を体感するには,ハプティックスのサンプリングタイムを1ms以内に抑えなければリアリティは得られない.このため,衝撃力や摩擦力を高速に計算しなければならない.一般に,衝撃や摩擦の力学モデルとしては,古典的なHertzやCoulombの近似モデルが有名であるが,本研究ではより精度の向上が見込めるMirtichの近似モデルを採用し,それを実際の撃力を生み出すように拡張した.この際,その人工撃力波形と実験撃力波形を比較し,反発係数,波形高さ,波形幅などのパラメータを最適化アルゴリズムの一種であるランダマイズドアルゴリズム(局所最小解を脱して大局最小解を探索するアルゴリズム)でキャリブレーションした.これにより,Mirtichの近似モデルでは生成できなかった撃力波形が利用できるようになり,波形の質も向上した.さらに,これらのキャリブレーションされた撃力や摩擦力を前述のハプティックで体感できるよう,3次元CGアニメーションとの接続をはかった.これらのCGは既にOpenGLで描画されている.しかし今後,衝突の際の音声などを加え,さらにリアリティを高めていくため,現在OpenGLのソフトウエアをDirectXのソフトウエアに移行させている.一般に,DirectXには,多数のライブラリが用意されているが,ここでは音声を付加するライブラリDirectSound(Direct3DSound),及びアニメーションを描画するライブラリDirectDraw(Direct3D)等を利用して,複合現実感への道筋をつけようとしている.
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