研究概要 |
高齢社会の到来により,日常生活で介護を必要とする高齢者及び加齢による障害者の増加は不可避である。代表者のグループでは,狭い屋内環境での移動,ベッドへの幅寄せ,軽作業中の移動等に有効な全方向移動車椅子の開発を行っている。また本科学研究費補助金により,平成14年度には搭乗者に不快感を与えない快適走行制御,及び介護者にとって小さな力で違和感のない操作を可能にする全方向パワーアシストに関する研究を行い,製作した全方向移動車椅子を用いた実験によりその有効性を確認している。 平成15年度には,車椅子の誤動作による障害物との衝突を回避する際に,車椅子が検出した環境情報(車椅子周囲の危険度分布)を搭乗者にダイレクトに伝えることにより,違和感のない操作性を実現した。具体的には,障害物を検出した方向に対して,その危険度を計算し,計算した危険度に応じた負荷を入力用ジョイスティックの対応する方向にかけるというハプティックフィードバックを用いることにより,搭乗者の操作指令と車椅子の動きが異なった場合に生じる違和感及び危険性を回避した。 計測した環境計測データに基づいて,製作したジョイスティックのインピーダンスを変化させた。搭乗者がジョイスティックを倒そうとした瞬間にその方向を検出して,移動方向の車椅子の速度成分及び障害物との距離から,ジョイスティックのインピーダンスを決定し,モータに指令を与えた。これにより,障害物のある方向に対しては移動指令を出すことが困難になる。実験及びシミュレーションによりインピーダンスの調整方法を検討した。
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