サーボデータ制御に基づく高速高精度加工システムの開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14550251
• 研究機関: 沼津工業高等専門学校
• 研究代表者: 藤尾 三紀夫 沼津工業高等専門学校, 制御情報工学科, 助教授 (70238541)
• キーワード: 高速高精度加工 / サーボデータ / 形状補間 / 運動誤差 / サーボシミュレーション / 円弧半径減少量 / Boundary-Map形状モデル

研究概要

本研究の目的は、グローバル競争の激化が進む中、日本における加工技術の優位性を維持するために、次世代を見越した高速高精度加工技術を開発することである。具体的には、加工形状からサーボデータ(サーボモータに最終的に出力される位置指令データ)を直接生成する形状補間機能と共に、得られたサーボデータで工作機械を制御した場合の加工誤差をシミュレーションにより予測し、サーボデータを補正制御することにより高速高精度加工を実現する。
本年度は、提案するシステムが実現可能であるかを評価するための試作システムの開発を行った。実際には、九州工業大学に設置されている工作機械の安川電機製CNCコントローラに改良を加え、2ms毎にサーボデータを直接出力できる出力ポートと軌跡を測定し評価できる計測システムを開発した。また、円弧と直線を組み合わせた形状から直接サーボデータを生成する形状補間機能を開発した。さらに、誤差補正の対象として、CNCの補間後加減速処理とサーボの追従誤差により生じる運動誤差を補正対象とし、運動誤差を予測するサーボシミュレーションシステムおよび得られた予測誤差によりサーボデータを自動的に補正する自動軌跡補正システムを開発した。
そして、開発したシステムの有効性を確認するため、評価システムを用いて実際に円弧と直線からなる形状を対象に、速度指令、円弧半径、加減速時定数を変えて加工を行い、軌跡の評価を行った。その結果、従来の補正しない条件下で発生していた数十ミクロンの運動誤差(円弧半径減少量)が、評価システムにおいては3〜1ミクロン以内に低減できており、提案するシステムの実用性が明らかになった。
しかし、加速時に若干の機械振動が発生するなど新たな問題が発生したため、これらの除去を行う必要がある。また、さらに複雑な形状に対して形状補間を行うと共に、今後は工具のたわみの補正にも適応していく予定である。

研究成果

• [文献書誌] 鈴木裕, 藤尾三紀夫: "連載 CAMシステムにおけるデータ処理 第5回B-mapデータ構造に基づくデータ処理"日刊工業新聞社型技術. 17,12. 98-104 (2002)
• [文献書誌] 藤尾三紀夫, 柳下福蔵, 鈴木裕: "ダイレクトサーボに基づく高速高精度加工システムの開発に関する研究"機械学会第4回生産加工・工作機械部門講演会講演論文集. 23-24 (2002)
• [文献書誌] 藤尾三紀夫: "Boundary-Map形状モデルに基づく高速高精度加工システムの提案 第3回高速高精度加工システムの開発"工業調査会 機械と工具. 46,2. 105-110 (2002)
• [文献書誌] Mikio Fujio, Hukuzo Yagishita, Hiroshi Suzuki: "Development of a CAD/CAM System Based on Boundary-Map Data Structure"Proceedings of The 6th International Conference on Progress of Machining Technology. 811-816 (2002)
• [文献書誌] Mikio Fujio, Hukuzo Yagishita, Hiroshi Suzuki: "An application for Boundary-Map geometric model to the multi-axis NC simulator"Proceedings of International Conference on Leading Edge Manufacturing in 21^<st> Century. (発売予定). (2003)
• [文献書誌] 藤尾三紀夫, 柳下福蔵, 鈴木裕: "サーボデータ制御に基づく高速高精度加工システムの開発に関する研究"日本機械学会Robomec 2003講演論文集. (発売予定). (2003)