研究概要 |
本研究の主要な目的は、雷インパルス電圧のような急峻波を電界プローブで測定し,電界プローブ法を基準雷インパルス電圧測定システムとして利用可能な水準まで引き上げるための基礎研究を行うことである。本年度の実績をまとめると以下のようになる。 1)抵抗性プローブのステップ応答を解析的な記述であらわすことが可能になった。 2)抵抗性プローブのステップ応答の解析解とEMTPとSPICEによる数値計算結果を比較し,今回導出した解析解と数値計算結果が定性的には同じ傾向を示すことを把握すると共に,精度及び応用の面では今回導出した解析解が定量的に優れたものであることを確認した。 3)電界プローブに接続される静電容量(Cm)と抵抗性ケーブルの長さ(L),その単位長さ当たりの抵抗値(R)をパラメータにとり,単位ステップ応答計算により,標準雷インパルス電圧が印加された場合の抵抗性ケーブル終端で測定されるインパルス電圧応答を数値コンボルーション手法により計算し,最適なCm-L-Rの組み合わせを明らかにした。この結果,既知量Cmに対して,最適なL-Rの組み合わせが存在することが明らかになった。 4)電界プローブと球電極のなす幾何学的静電容量(C)を極めて高精度で計算できるアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは球-接地平板電極における球表面の電位境界条件を連続影像法により満たし,矩形接地平板(電界プローブ)上の電界し,その結果から間接的に幾何学的静電容量を計算するものである。このアルゴリズムの完成により幾何学的静電容量(C)の値を実用上十分な精度で計算することが可能となった。
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