研究概要 |
本研究の主要な目的は、雷インパルス電圧のような急峻波を電界プローブで測定し,電界プローブ法を基準雷インパルス電圧測定システムとして利用可能な水準まで引き上げるための基礎研究を行うことである。本年度の実績をまとめると以下のようになる。 本研究で提案する電界プローブを用いて雷インパルス電圧を,従来の基準分圧器の精度で測定する技術は,抵抗性ケーブルを導入することにより可能であることが実測,理論の両面から明らかにされた。本研究でその有効性が実証された球電極+電界プローブ+抵抗性ケーブルより構成される雷インパルス電圧測定システムは広範な分野への応用が期待される。その一例として,開閉インパルス電圧測定への応用が考えられる。開閉インパルス電圧(ピーク値までの到達時間は250usec)は時間的な変化率で表現すれば,雷インパルス電圧(ピーク値までの到達時間は2usec)と商用AC電圧(ピーク値までの到達時間は5000usec)の間に置かれよう。電界プローブは従来からAC電圧の測定に使われ,何ら問題がなかった。本研究で,雷インパルス電圧測定に使えることが明らかにされた現在,開閉インパルス電圧測定への応用はいかなる困難も見出せない。 なお,問題点として,700kV以上の電圧階級の雷インパルス電圧は電界プローブによって測定することが困難なことが挙げられるが,非技術的な観点から困難と考える。つまり,大型の球電極の必要性が難点として立ちふさがっているように思われる。実際,直径100cm以上の球電極の使用は費用の面でもまた,設置(天井から吊るすため,建屋の補強工事が必要)の上でも,それより小さな球電極に比べ格段に困難であるためである。
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