研究概要 |
本研究は,平成14年度から3カ年に亘って遂行する計画であり,平成15年度は以下の研究実績を得た。 (1)ポンプの効率算定 試作したポンプの揚程を変化させたときのポンプ出力を測定した結果,揚程が1.4mのとき,ポンプ出力が最大の0.65Wとなることがわかった。ここでは,ポンプ出力向上のために工夫した階段波駆動を行い,その平均回転数を92rpmとして測定した。この回転数まで,ポンプ出力は回転数と共に上昇し,これを過ぎると直動磁石の運動がフルストロークに達しないことがわかり,ポンプ出力が低下した。ポンプの最大出力時,総合効率は38%であった。これは,従来より提案されている経皮変圧器,電力変換器およびモータから成る人工心臓システムの総合効率の約2倍に当たる。 (2)「磁気式アクチュエータ」の大出力化 ヒトの安静時の心臓出力(6L/min.,100mmHg)を想定したポンプの概念設計を行い,これを満足する回転磁石および直動磁石の外形(75mm),厚さ(7mm)およびヨーク厚(4.5mm)を磁界計算により算出した。 (3)ポンプ構造の改善の試み ポンプ内の直動部のシーリングとしてダイアフラムを使用しているが,これを用いないことでポンプ構造の軽量化および簡素化を行う試みを行った。アクリルでシリンダとピストンを形成し,これらの間を極力狭めて水漏れを防止しようとしたが,残念ながらこの試みでは十分に水漏れを防ぐことができなかった。 (4)周辺技術の検討 駆動モータへの電源供給法および磁性材料の基礎特性に関する検討を行った。
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