研究概要 |
1.電磁界解析ソフトウェアによる金属磁石の形状設計 高速大容量パソコンを用いて磁気アクチュエータの3次元磁界解析を行い,金属磁石の内径,外径および厚さ,さらに,金属磁石の背面に取り付けるヨーク厚を設計した。設計条件として,ヒトの循環器系の血圧の上限,金属磁石の磁力およびポンプのピストンストローク長を考慮した。設計結果として,金属磁石の内径,外径および厚さは,それぞれ17mm,63mmおよび3mmで,ヨーク厚は4.5mmとなった。 2.「磁気式アクチュエータ」の試作と出力特性評価 設計した寸法の金属磁石(Nd-Fe-B磁石)を2枚製作し,これらに設計制作したヨークをそれぞれに取り付け,これらを対向させて磁力の磁石間距離特性および回転角特性を計測した。従来型の磁石対に比較して磁力が増大し,特に,引力は従来型の2倍程度に達した。 3.ポンプの試作と特性評価 製作したNd-Fe-B磁石を適用したポンプを試作し,その出力特性を実測した。ポンプの最大出力は0.65Wとなり,従来型に比較して約2倍の出力を得た。また,この時のアクチュエータ出力は1Wであった。 4.ポンプの効率算定 ポンプ最大出力時におけるポンプ効率を計測したところ,38%であった。 5.「磁気式アクチュエータ」の大出力化 ヒトの安静時心臓出力(6L/min.,100mmHg)を想定したポンプの概念設計を行い,これを満足する回転磁石および直動磁石の外径,厚さおよびヨーク厚をそれぞれ75mm,7mmおよび4.5mmと磁界解析ソフトにより算出した。これらの設計値のNd-Fe-B磁石を製作し,ポンプを試作した。 6.最終試験結果 最終的に開発した磁気アクチュエータ駆動型ポンプの出力は1.0W(4.5L/min.)および1.3W(3.5L/min.)であった。
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