研究概要 |
高効率を維持しつつ様々な運転条件に柔軟に対応できる高性能非平衡ディスク形MHD発電機を実現するためには,発電機入口におけるプラズマ状態をそれぞれの運転条件に対して最適なものに制御する技術の開発が必要不可欠である。このような背景のもと,本研究では,非平衡ディスク形MHD発電機入口において高周波電磁界により発電機入口プラズマを制御し,発電機の更なる高性能化と運転条件の拡大を図ることを目的としている。 今年度(初年度)は,衝撃波管駆動非平衡ディスク形MHD発電機を用いて,誘導結合型高周波電磁界を印加することによる発電性能の向上の可能性を,入口澱み点温度が高く(2650±50K)自己誘導起電力に起因したジュール加熱だけで発電可能なプラズマが生成されやすい場合と,入口澱み点温度が低く(2275±75K)自己誘導起電力に起因したジュール加熱だけで発電可能なプラズマが生成されにくい場合において実験的に調べた。その結果,いずれの入口澱み点温度においても,高周波電磁界を印加することにより,印加電力(誘導コイルに供給した高周波電力:5〜6kW(熱入力に対して0.4〜0.6%)を上回る発電出力の増加が得られた。その発電出力の増加は,入口澱み点温度が低い場合のほうがより顕著であり,誘導結合型高周波電磁界を印加することによって,作動気体温度許容範囲が拡大できることを明らかにした。 このような研究実績をもとに,次年度(最終年度)は,広いシード率の範囲で実験を行い,特に低シード率にける性能向上の可能性を探り,シード率許容範囲拡大の可能性を実験的に明らかにするとともに,作動気体をヘリウムとした実験も行い,高周波電磁界を印加すること有用性を明確にする予定であり,また遂行可能であると考える。
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