研究概要 |
高効率を維持しつつ様々な運転条件に柔軟に対応できる高性能非平衡ディスク形MHD発電機を実現するためには,発電機入口におけるプラズマ状態をそれぞれの運転条件に対して最適なものに制御する技術の開発が必要不可欠である。このような背景のもと,本研究では,非平衡ディスク形MHD発電機入口において高周波電磁界により発電機入口プラズマを制御し,発電機の更なる高性能化と運転条件の拡大を図ることを目的とした。 初年度(平成14年度)は,衝撃波管駆動非平衡ディスク形MHD発電機を用い,セシウムをシードしたアルゴンを作動気体として,誘導結合型高周波電磁界を印加することによる発電性能の向上の可能性を調べ,高周波電磁界を印加することにより,印加電力を上回る発電出力の増加が得られること,またその発電出力の増加は,入口澱み点ガス温度が低い場合のほうがより顕著であり,本方法により作動気体温度許容範囲が拡大できることを明らかにした。 このような研究実績をもとに,最終年度(平成15年度)は,セシウムをシードしたヘリウムを作動気体とし,シード率および負荷抵抗を広い範囲で変化させて本法の有用性を検証する実験を行った。その結果,低シード率条件だけでなく,最適シード率,高シード率条件においても発電出力が向上し,また低負荷抵抗条件でその向上が著しいことを示した。すなわち,入口澱み点ガス温度シード率,負荷抵抗の運転条件が,高周波電磁界を印加することにより拡大することを明らかにした。さらに,3次元電磁流体数値シミュレーションにより,高周波電磁界印加条件下でプラズマ電磁流体の挙動を明らかにし,実験結果の裏付けを行った。 研究は当初の計画通り遂行され,「高周波プラズマ制御によるディスク形MHD発電機の高性能化」が可能であることを実証した。本研究成果は,当研究開発分野の発展に大きく貢献するものと考えられる。
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