研究概要 |
1年目(平成14年度)は、電車の車両の台車と連結部分の振動系を含む詳細な通勤電車モデルを用いた計算機シミュレーションによって、1インバータ・2誘導機の電車駆動システムに対して、外界センサレス接線力推定器を導入し、瞬時に最適な出力トルクを実現する制御方法を確立した。台車振動と空気ブレーキ力を考慮した空転再粘着制御系(高粘着制御系)を構成した。さらに、電車駆動を模擬する誘導機2台と空気ブレーキを模擬するブレーキ用モータ2台を用いて、通勤電車模擬実験装置を設計・製作を行った。 電車の詳細なモデルを高速大容量のパーソナルコンピュータによる計算機シミュレーションによって、研究課題の「外界センサレス接線力推定に基づく高粘着制御系」を開発した。通勤電車模擬実験装置の製作のために、現有施設の誘導機2台とサーボモータ2台を使用した。誘導機とサーボモータは電車と線路を模擬するために高性能なインバータを制作した。インバータは,IGBTモジュール、電解コンデンサ、電流センサ、ラック等の電子回路部品によって構成した。インバータとサーボモータの電圧と電流の波形を観測するために、ディジタルストレージオシロスコープを用いた。外界センサレス接線力推定に基づく高粘着制御系は、インバータ駆動専用DSPボード(ディジタル信号処理ボード)で実装した。 上記の計算機シミュレーション結果は,電気学会産業応用部門大会と電気学会東京支部新潟支所研究発表会において,それぞれ発表した。また,2003年9月にフランスのツールーズで開催されるヨーロッパパワーエレクトロニクス会議(EPE2003)においても発表する予定である。今後も,学会に参加して最新の学界情報の調査と研究議論を行うことで,本研究をより発展させていく計画である。
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