研究課題
基盤研究(C)
本研究は当研究室で開発されたリアルタイム空間電荷密度分布測定システムを高感度化して鉄塔近傍の空間電荷密度と地上電界、風向、風速の関係を明らかにし、空間電荷密度分布と雷遮蔽失敗の関係を明らかにすることを目的としている。この目的を達成するために(1)音波による空間電荷の測定、(2)針端コロナ電流の風による影響調査、(3)冬季雷の雷撃進展撮影を行った。その結果以下に示す知見を得た。蒸気に帯電した空間電荷を音波を持ちいて電荷分布を推定したところ、電荷雲の位置の誤差は1%から14%、電荷密度は10%から77%の誤差内で検出できた。また、雷雲下の地上14.5mにある針端から放出された電荷を音波を使って検出したところ、電荷密度はコロナ電流から推定される値とほぼ一致し、位置はイオンのドリフト速度と風速から推定される分布領域とほぼ合致していた。一本の針端電極では、風があるとコロナ電流値は増加する。周辺電界80kV/m、風速3.8m/sの場合風速が無風時より3%増加する。針端電極2本が平行して存在する場合、風下側針端は風上側から発生した空間電荷により電界緩和を受ける。鉄塔から出発した上向き進展リーダは高度の上昇とともに速度が増加する。これは空間電荷領域を抜けると周辺電界が高くなるためであると考えられる。また、上向きリーダ進展時に多数の微小放電が発生する。これも周辺の空間電荷領域の密度と密接に関係している。以上の結果より、雷雲下の地上構造物からはコロナ放電により多くの電荷が放出され、その上に空間電荷領域を形成する。空間電荷領域は周辺電界と風速により決定される。そのような状況下で発生したリーダはこの空間電荷に起因する進展と放電様根を示すことが明らかとなった。
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