研究概要 |
平成15年度は,昨年度に引き続きアルミナを充填したエポキシ樹脂を遠心分離することにより,誘電率が連続的に傾斜した試料(ε-FGM)の作成を行ない,更にその絶縁特性を検討した。以下,その成果の概要を示す。 1.誘電率傾斜アルミナ充填エポキシの作成について (1)本年度は球形のアルミナを使用し,誘電率の変化の範囲を拡張できることを確認した。 (2)誘電率が空間的に,かつ連続的に変化していることを確認した。 (3)研磨した試料の表面粗度は沿面放電に影響がない程度であった。 (4)使用する材料や作成条件によって,誘電率傾斜特性は大きく異なることを確認した。 2.ε-FGM作成条件の最適化について ε-FGM作成条件の最適化を検討するために,遠心分離中の粒子挙動のシミュレーションを行なった。その結果,現在考えている粒子条件では,粒子の挙動は一次元の運動方程式で記述できることを示した。更に様々な粒子条件や作成条件を想定してシミュレーションを行ない,適切な試料を作成する条件を導出した。特に,粘性係数などのパラメータに充填率依存性を考慮したシミュレーションを行った。 3.PD特性のシミュレーション パッシェン曲線と電圧-電気力線長特性を用いる簡易PD予測手法を適用し,球形アルミナを用いて誘電率の範囲が広がった台形スペーサの誘電率傾斜がPD特性に及ぼす効果を検討した。その結果,不定形のアルミナを用いるよりもPD発生電圧の向上が期待できること,高電圧電極側で急激な変化を示す誘電率分布がより効果があることを示した。
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