研究概要 |
高効率・高濃度のオゾン生成技術を用いた新しいDPM浄化技術の確立を目的とし,活性ラジカルの環境浄化への新しい応用を目指すものである.大気圧下においても比較的広範囲に自己組織的に発生する大気圧バリア放電において,生成したオゾン・活性酸素をフィルター等により局在化させたDPMやNO_xに作用させてディーゼル排気ガスを浄化する研究を行った. 排気ガス中のDPMやNOxの濃度は数十〜数百ppmと希薄なため,これらを効率的に分解処理するには,被処理物を限られた処理空間に局所(濃縮)化する技術との併用が鍵となる.先ず,実際のディーゼルエンジン(273ml,6ps)からの排気ガス中のDPMを透過粒度2μmのフィルター表面へ局在化することを試みた.フィルター通過後のスモーク濃度は測定器(Banzai製,DSM-10N)の検知下限以下であった.そこに大気圧バリア放電を直接暴露したところ,DPMによる目詰まりで生じていたフィルター前後の圧力差が減少した.また,放電処理に伴って処理ガス中のCO及びCO_2濃度の増加とNO_x濃度の減少が観測された.これらのことから,ディーゼル排気ガス中のDPM及びNO_xの同時処理の可能性が示された. 次に,より効率的にDPM及びNO_xを処理空間に局在化させるシステムを考案した.排気ガスの圧力損失を少なくするために,DPMを電気集塵技術により,NO_xをPZA(Pt-Zr_2-Al_2O_3)触媒を担持したハニカム構造体により局在化させるというコンセプトである.このシステムに適用可能な装置として,誘電体にマイカを用いた多段平行平板式の大気圧バリア放電装置を試作した.これにより,商用周波数から高周波数(Trek製,20/20C,〜10kHz)において,一様な大気圧バリア放電が生成可能となった.同様の構造をした電気集塵電極を用いて,印加電圧1kVでDPMを模擬した微小粒子(平均粒径3μm)の約90%が捕捉できた.また,PZAハニカム体の温度を制御することによりNO_xの吸収放出が可能なことも示された.
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