研究概要 |
高効率・高濃度のオゾン生成技術を用いた新しいDPM浄化技術の確立を目的とし,活性ラジカルの環境浄化への新しい応用を目指すものである.大気圧下において広範囲に自己組織的に発生する大気圧バリア放電を用いて,ディーゼル排気ガス中の希薄なDPMやNO_xをフィルター等により局在・濃縮させた後に浄化する研究を行った. 先ず,ディーゼルエンジン排気ガス中のDPMのフィルター表面(透過粒径2μm)への局在化を試みた.DPMはフィルターに捕集され,フィルター通過後のスモーク濃度は測定器の検知下限以下にできた.その後の放電処理に伴って,DPM捕集により生じたフィルター前後の圧力差が減少し,また,処理ガス中のCO, CO_2濃度の増加とNO_x濃度の減少が観測され,排気ガス中のDPM及びNO_xの同時処理の可能性が示された.しかしながら,ディーゼルエンジン実機への適用ではフィルター挿入による圧力損失が問題となることが明らかとなった(平成14年度). これを解決するために,DPM及びNO_xを処理空間に局在化させる新しいシステムを考案した.DPMを電気集塵技術により,NO_xをPZA(Pt-Zr_2-Al_2O_3)触媒担持のハニカム構造体により局在化させるコンセプトに基づき,マイカ誘電体を用いた多段平行平板式の処理装置を試作した.また,サブミクロン粒子の濃度測定が可能な計測システムも構築した.これにより,直流印加電圧2kV,風量8l/minで模擬DPM粒子(平均粒径0.3μm)の約65%が捕捉でき,電気集塵方式がサブミクロン粒子の捕集に有効なことが示された.また,同じ電極配置で,商用周波数から高周波数(〜10kHz)の大気圧バリア放電が一様に生成でき,放電による約300℃の温度上昇も達成できた.PZAハニカム体の温度制御によりNO_xの吸収放出が実現できたことから,本システムの有効性が明らかとなった.
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