配電系実時間電圧・電流波形計測用一体型センサの計測系に関する実験的研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14550268
• 研究機関: 佐賀大学
• 研究代表者: 古川 達也 佐賀大学, 理工学部, 教授 (90173525)
• 研究分担者: 相知 政司 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (30233018)
• キーワード: 配電系力率計測 / 実時間力率測定 / 電磁誘導型センサ / 電圧センサ / 電流センサ / 樹脂一体型電圧電流センサ / 非接触計測 / 電磁誘導障害計測

研究概要

平成12年度、13年度科学研究費補助金(課題番号12650285)の支援を受けて、試作した配電系電圧・電流波形計測用一体型センサは、筐体にポリアセタール樹脂を採用することで、電極やサーチコイル配置位置の自由度が高く、電気的な絶縁性を踏まえて実用的であることが理論的にも実験的にも例証されている。
そこで、平成14年度では、先ず、電極並びにサーチコイルの配置をモジュール内で自由にとれる、上記の樹脂一体型電圧・電流センサの最適設計パラメータを決定すべく、有限要素解析に基づいて解析を行った。その際、4、000節点を越える解析を迅速に実行するために、本年度備品で購入したPentium IVベースの1Uサーバ3台を用いて、クラスターシステムを構築し、高速数値シミュレーションができる計算環境にした。なお、クラスターシステムには、経済産業省が推進し技術研究組合新情報処理開発機構が開発したSCoreを採用し、大容量、高速計算が実現できる下準備が完了した。更に、先に紹介した平成13年度の実験から、電流センサ出力には、高調波成分が重畳しているのが判明していたので、その原因究明を行うべく、過渡電磁解析が不可能であった従前の有限要素解析プログラムを改編し、時間微分項を交代差分近似して、高調波問題を取り扱えるようにした。
平成14年度は、平成13年度までに構築した模擬配電系計測システムに電流シャント(最大電流300A)を三相分導入、現有のディジタルスコープ用の拡張チャンネルユニットを3台購入して、三相分の配電線電流と電流波形を同時計測できるようにした。また、高調波電流除去のためのローパス・フィルタを設計・実装し、高調波成分を除去した力率測定を可能にした。更に、本研究計画の最終目標である遠隔計測システムを実現するため、ほぼメンテナンス・フリーで実現可能なコンピュータシステムとして、日立H8CPUを搭載した省スペースかつLAN、AD-DA変換等の高機能を実装したシングルボードコンピュータを購入し、本計測システムへの適用性を調査・決定し、来年度に繋げた。

研究成果

• [文献書誌] 古川達也, 相知政司, 牧野伸一, 上田宜行: "模擬配電線を用いた樹脂一体型電流センサの特性試験"第21回計測自動制御学会九州支部学術講演会. 161-162 (2002)
• [文献書誌] T.Furukawa, M.Ohchi, M.Ashikawa, Y.Ueda: "Design and Implementation of Resin-Molded Type of Voltage-Current Sensor for Power Distribution Systems based on Finite Element Method"Proceedings of The 14^<th> Conference on the Computation of Electromagnetic Fields. (掲載予定). (2003)
• [文献書誌] T.Furukawa, M.Ohchi, Y.Watanabe, Y.Doi, Y.Ueda: "Theoretical and Experimental Approaches to Noise Reduction of Current Waveform in Resin Molded Voltage--Current Sensor in Power Distribution System"Proceedings of The SICE Annual Conference 2003. (掲載予定). (2003)
• [文献書誌] 相知 政司, 古川 達也: "円弧形補助電極付長間隔測定電極間の誘電体位置による静電容量変化計測"電気学会論文誌A. (掲載予定). (2003)
• [文献書誌] 相知 政司, 古川 達也, 崔 秉学: "補助電極付平行平板長間隔コンデンサによる誘電体位置推定の可能性"電気学会論文誌A. (掲載予定). (2003)